こんにちは、本を読みました。
感想と要約を書きます。
著者の小笠原望氏は、高知のお医者さんです。松山にある「たんぽぽクリニック」のように、本人が望むならいのちの終わりを家で過ごせるようにという考えをお持ちです。
いい仕舞い(四万十のことば)
医療の現場では、何もしないのは難しいと書かれている通り、何もしないと治療をしないということになるので、患者さんの望みを医療現場の人が共有することが大事ですが、たまにしか来ない家族が本人の望みではない治療を望んで思い通りの「いい仕舞い」ができない人もいたそうです。
この本には、終末期の認知症患者さんのことや、うつの人のこと、生涯がある人の命のことなど書いてあります。これから自分や自分の家族がどうなっていくか、考えられないくらい若いうちから話をしておいたり、書面に残しておくのは大事なことだと思います。
抗うつの方は、本当に命が危なくなった時、不安がふきとんで、明るくやりとりできるようになったとか、現場のやりとりが本には書かれてます。心が本当の困難にあったとき、単純にものを考えるようになると。わかります。
その人のために時間をつかう
先生が担当になった患者さんに、もと看護師さんだった方がいます。
主治医になった先生はその人と時間をかけて一緒にいて、看護師仲間が訪れたり、病室にパソコンをもちこんだり編み物をしたり、一緒にご飯を食べたりしたそうです。
終末期には、「がんばれ」とか「がまんして」と言わず、多少八つ当たりされても、一緒に過ごすことが良いとおっしゃっています。
病院の個室が、家庭の延長のように和やかに過ごせる空間になるとうれしいですね。
長生きだけじゃなく充実を
在宅で、生活している超高齢者は、認知があっても良く食べて、階段をのぼったりする100歳越えのおばあちゃんもいるそうです。在宅ですごすことを試してみるのは良いとおっしゃいます。
ベッドの上で、人工呼吸器をしたまま介護されるのが一番危険がないけれど、鼻か栄養を入れるチューブをいれっぱなしにする方が事故がなくて楽だけど、差しっぱなしにせず、チューブを抜く時をつくったり、バッグで空気を肺に手で押し込みながら、一緒に外を散歩したりということをされていたそうです。
自分が患者だったらと考えると、こういう先生が主治医だと、信頼できるし、何かあっても先生のいうことだからと納得すると思います。逆に外に連れ出すなんてと考える方もいるかも。
神経難病の高校生の患者さんに、ついて行って人工呼吸器の管理をするからと修学旅行に行かせたという話もあります。ディズニーランドに行くことができたそうです。卒業式を前に亡くなってしまったのだけど、何かあった時に家族に責任を問われたりするだろうし、すごいと思います。
先生は在宅往診をしていた方が亡くなったらお通夜やお葬式に出られるそうです。
そこでは「亡くなった人がしたいようにできた」という人と「ああすればよかった、こうすればよかった」と後悔する人がいますが、医療者として亡くなってからの命に向かい合うことも大事とおっしゃってます。
患者さんや家族との関係を、時間をとって作っておくということも大切なんだなと思います
介護は手抜きで
玄関からとてもきれいで、部屋もピカピカで、おむつも見えないようにきれいに収納されている家を見ると、危ないなと思うそうです。
先生や医療関係者も意外と介護に向いてないように感じるそうで、農業をやっていた人はうまく介護できる人が多いようです。肩に力が入っている人に「人はそう簡単に死なないから」と緊張をとるような話をすることを繰り返します。
「優しさは想像力」といい、介護者が疲れると考える余裕がなくなるので、介護をしている人が疲れ切ってしまったとき、病院に入院をすすめるそうです、もう無理と思う前に誰かに頼ることだそう。
完璧に仕事をする人はまずいのかもしれないけど、看護師さんは、完璧に仕事しないとお医者さんに怒られたり始末書かかされたり、大変よね。
認知症の患者さんの介護
認知症患者さんは、昔出来ていたことができなくなっていきます。
事実を争わないで、できないことを要求しないということが大切だそうです。認知症の方と同じペースになって、いらいらしないで対応することだそうです。
できたことを喜ぶ、できたことをほめること、正しく伝えるではなく、あなたと私、和やかな空気を伝えることで、伝わることがあります。その人として認める、受け止めるやさしさを持つといいと言います。
「生きているってみんな大変」と両方が思うこと。介護される人も大変なんて思ったことなかったなあ。
感想
完璧な介護は無いし、完璧な医療を受けても、いつまでも人が生きられるわけではない
本人と家族が納得するかなのねと感じました。自分と合う考えのお医者さんを探して見つかるといいよね。健康のコツとか、どうしようもないことへの向き合い方など、載っています。
ずーっとかっこよく過ごせるなんてことは無いです。
先生が開催している、「大野内科健康教室」に、私も行ってみたい。